満沢 将孝
取締役執行役員 / CHRO(最高人事責任者)
1986年生まれ。埼玉県出身。新卒でオフィスコンサルティング会社に入社し、営業役員や人事役員を歴任。2018年3月にスタメンに入社。同年9月からは執行役員としてセールス部門を牽引し、導入企業数を拡大する。2019年9月に取締役TUNAG事業部長に就任。強固な組織づくりを推進し、TUNAG事業全体の運営を統括している。
TUNAGの考える「エンゲージメント」
昨今、人と組織に欠かせないテーマとして注目を集める「エンゲージメント」。 生産性向上や離職率低下だけでなく、人材を企業価値を創出する組織の原動力として捉える「人的資本経営」など、重要性が増す「エンゲージメント」について、当社CHROの満沢にインタビューを実施しました。
HR領域(人事領域)においては、「組織内の結びつきや信頼関係」を表現する言葉として使われています。
使用されるシーンや組み合わせによって様々な意味を持つエンゲージメントですが、TUNAGでは、人と組織におけるエンゲージメントを「会社と従業員、従業員同士の相互信頼関係」として定義しています。
その他、学術的に使用されるワークエンゲージメントなども知られていますが、TUNAGでは、人や組織を原動力とする従業員エンゲージメントを重視し、会社の成長を目指す「エンゲージメント経営」に取り組まれる企業をご支援しています。
会社と従業員の「タテ」の関係と従業員同士の「ヨコ」の関係の双方向の信頼関係だと考えています。下から上などどちらか一方だけではなく、上から下も含めた相互という点が大切です。
具体的に「タテ」の関係で言えば、従業員としては、会社が目指している方向やビジョンを深く理解・共感し、具体的なアクションに移している状態。 会社としては、従業員がどういった想いや考えで働いているかを理解・共感した上で、従業員が働きがいを感じ、自己実現できるよう支援している状態です。
また前提として信頼関係を構築する為には、「知らない」状態ではなく、「知っている」状態であることが不可欠です。行動変容として知られているモデルですが、信頼関係においても、相手を「知る」ことから始まり、「理解」「共感」「行動」へと変化していきます。
国内の就労人口の減少、働き方の多様化、働く価値観の変化、人材の流動化などの影響により、会社における組織運営や経営自体の難易度が高まっています。
特に会社として信頼できる優秀な人材を確保し、パフォーマンスを発揮できる環境で会社の成長と共に個々の成長を促すことが、今各社に求められています。
これまでも従業員満足度(ES)調査を実施し、組織運営の改善を図る取り組みをされている会社もありましたが、継続的に実施できるのは、資金力に余裕のある一部の会社に限られており、また従業員満足度だけでは、強い組織はつくれません。
更にコロナのような外部環境の大きな変化が加わったことで、持続的に成長できる安定した強い組織をつくる為には、外部要因に影響されない普遍的な企業価値となる「人と組織」の重要性が高まり、エンゲージメントへの注目が増しています。
従業員満足度:
・報酬や環境、待遇など会社が与えたものの上に成り立つ
・業績などによって大きく変化する為、不安定で持続的ではない
・組織としての強さには比例しない
エンゲージメント:
・信頼関係の上で成り立つ為、外部環境に影響されず、安定している
・周囲に伝播し、持続的な効果が期待できる
モチベーションは、個人が行動するための動機であり、実際に行動につながるとは限らず、仮にそのモチベーションが利己的なものだった場合、必ずしも会社の成長につながってきません。 会社の成長にモチベーションは大切ですが、組織に対してエンゲージメントが高く、信頼関係が構築できている上で個々のモチベーションが高いことが重要です。
ロイヤルティは、従業員からの一方的な忠誠心を表します。ロイヤルティが高い場合でも、エンゲージメントの低い組織では、忠実に従う行動力はあっても、主従の意味合いが強く、従業員の主体性を奪う要因となってしまう為、共に成長できる関係性ではありません。
ワークエンゲージメントは、仕事や業務内容に対するエンゲージメントで、仕事そのものにやりがいや誇りを感じていても、会社や組織に対しては同様に思いを感じていない場合があります。
従業員エンゲージメントは、会社や一緒に働いている人や組織に対してのエンゲージメントを指します。例えば、なぜあなたはこの会社で働いていますかと質問した場合に、「仕事内容」と答えるか、「仕事内容だけでなく、会社の人や組織・事業の方向性に共感しているから」と答えるかが大きな違いになってきます。
まず自社の目指す方向やビジョンがない会社はエンゲージメントは高められません。信頼関係を構築する以前に、信頼するものがない状態です。大それたビジョンや方針ではなくても、会社の目指す方向やビジョンを定めることから始める必要があります。
次に「タテ」の関係構築から始め、会社の目指す方向を発信し、浸透させることが大切です。具体的にはトップメッセージや社内報などのコンテンツや制度などの社内の取り組みを通して、会社として何を強化したいのか、どういった想いがあるのか、目指す方向を伝える取り組みや施策を実施します。
それらを通して会社に対する従業員の理解が進み、共感が生まれ、行動につながります。また従業員からも会社や経営のメッセージに対する反応やコミュニケーションが生まれることで、会社としても従業員に対する信頼が生まれ、「タテ」の関係が構築されます。
その後、「タテ」と同様に知ることをきっかけに個々の理解や共感が進み、従業員同士やチーム、部署、拠点間での本質的で深いコミュニケーションが生まれ、次第に「ヨコ」の関係が構築されていきます。
目指す状態としては、会社と従業員の相互信頼関係が構築され、個々が会社と同じ方向に向かって貢献意識を持ち、前向きに行動できている状態です。従業員エンゲージメントが高まれば、次第にモチベーションや質の高いパフォーマンスによる生産性の向上、認識の不一致による離職率の低下といった効果につながります。
少しデリケートな内容ですが、信頼関係が構築され、会社の目指す方向やビジョンへの理解・共感があり、共に歩みを進めていれば、離職率は必然的に低下します。例えば会社と従業員の目指す方向性が異なり、共に成長ができない状況であれば、残念ながら離職は双方にとってやむを得ず、必要な新陳代謝だと考えられます。
また、例えば従業員満足度の向上を目的に待遇の改善を行った場合、会社と目指す方向が異なる従業員についても一律で待遇が改善され、一時的に離職を引き止めることになり得ますが、待遇が悪化すれば離職につながってしまう為、それらは適切な施策だとは言い切れないでしょう。
満沢 将孝
取締役執行役員 / CHRO(最高人事責任者)
1986年生まれ。埼玉県出身。新卒でオフィスコンサルティング会社に入社し、営業役員や人事役員を歴任。2018年3月にスタメンに入社。同年9月からは執行役員としてセールス部門を牽引し、導入企業数を拡大する。2019年9月に取締役TUNAG事業部長に就任。強固な組織づくりを推進し、TUNAG事業全体の運営を統括している。