サーベイだけに頼るエンゲージメント施策は、もう終わりにしよう【前編】
− 人と組織が強い会社の深イイ仕掛け – エンゲージメントコンサルタント森山コラム
最近、組織の状態やエンゲージメントの状態を可視化するために『サーベイ(診断)』を実施することが一般的な取り組みになってきました。
これらのサーベイサービスは数多くあり多種多様な形式が存在します。設問数だけみても数問から100問を超えるようなもの、形式もマークシート式のものからWEBアンケート形式のものや専用ツールで回答するものがあります。
サーベイのメリットは『組織の状態が可視化される』ことです。組織状態は目には見えにくいもの。可視化されることで状態把握ができ、改善への打ち手が取れるため、多くの企業が組織改革、人事施策の一環として実施するようになってきました。
確かに可視化されることで得るメリットはありますが、エンゲージメントを高めることを目的とした場合、『サーベイ』のみで実現することはあり得ないと思うんですよね。
更に言葉を選ばずに加えると、『サーベイ』に頼るエンゲージメントへの取り組みは、ミスリードを生むとも思っています。
目次
「サーベイの実施」の流行とその効果
組織状態の可視化ができることが大きなメリット
実際のところ、サーベイの実施は、人事施策の主流となりつつあります。Googleの検索トレンドをみても上昇していますし、弊社への問い合わせも増加しています。
決して安価な費用ではないにも関わらず、実施に踏み切ったという声も聞きます。
その裏側には『組織状態の可視化』が定量的にできることが大きな要因だと思います。組織単位、チーム単位で分析をしていくと、さまざまな課題がデータとして見えてきます。
僕も過去数年に渡りこのサーベイを定期的に受けた経験がありますが、いざ数値となりデータが届くと自身の感覚値と同傾向の箇所もあれば、意外な部分に組織の問題点があることに気付かされたりしたものです。
(何より人事担当からすると、目に見える数値は喉から手が出るほど必要とされている背景もあると思いますが……)
その後、結果に基づきアクションプランを設定します。アクション→改善をしていくというサイクルが一般的な流れです。
サーベイによって明確に課題箇所が分かるため、改善アクションを実施していけば効果がでてきます。
そして2回目、3回目と回数を重ねるとサーベイの数値スコアが改善されて目に見える形で良くなってきます。しっかりとアクションをすればサーベイのスコアは上昇するでしょう。
「スコアを上げること」だけを目的にしてしまうと、うまくいかない
が……、僕はこのサーベイ主体の改善に違和感を持っています。もちろん個人的な見解です。過去に経験した立場として言うと、“スコアを上げること”が目的になってしまったことに問題を感じていました。
他には、下記のようなことを強く感じました。
・アクション箇所はわかったが、施策の思案と運用は思った以上に難しかった
・課題に対してアクションし改善したが、新たな箇所で課題がでてきた
・数値スコアは定量的だが、スコア変動は定性的な判断になってしまう
・そもそも、従業員がサーベイをすることに慣れてしまい「忖度」がうまれる
スコア改善を目的としてしまうと、実際の組織状態との矛盾が見えてきてしまい、回数を重ねるごとにサーベイ結果自体が正しいものかどうか、自信を持てなくなってしまいます。
サーベイは、その瞬間の組織の状態が分かるものでしかない
組織状態は常に変わるもの
サーベイは、診断した瞬間を切り取った組織状態を可視化したものです。
言い換えれば、診断を実施して結果が開示されたその瞬間、組織状態がもう変化していて実態とのギャップが生まれていることもあります。
明らかに表面化している問題はサーベイを行うことで対処できると思います。しかし潜在的な問題に対してまでは対処できません。
例えば、サーベイ実施時にはまだ地中に潜っていた問題が、あるきっかけを起点に地上に顔を出したとします。そうすると対応が後手に回ってしまうでしょう。
サーベイでは、課題の根本原因まで把握できるとは限りません。そのため、課題改善のアクションプランを立てても、結果うまく機能しなかったり、現場から「ズレた印象」を持たれてしまうリスクもあります。
そして、忘れてはいけないのが、回答式であるという点です。つまり従業員にとっては「今から診断をします。これは組織状態を可視化する診断です」というメッセージは嫌でも伝わります。
そんな前提がある診断で「本当にリアルな状態」が可視化できるでしょうか。僕の経験上、毎回安定的に良いスコアを出す組織がありましたが、実態をみると不安や不満もあり退職も少なくありませんでした。
今の状態を常に見極め、改善していく「コーチ」も必要
プロのスポーツ選手でも、ほとんどがコーチをつけます。成熟した一流のプロ選手でもそうです。
例えば、テニスやゴルフのプロ選手のコーチは、ツアーに帯同して毎日スイングをチェックするそうです。
これだけテクノロジーが進化している現代であっても、高性能なデータ測定だけに頼らずに「今の状態や変化」を人の目に任せることもあるそうです。
選手の毎日のコンディションや精神状態を把握した上で、スイングの細かいズレを見極めていくことが求められているのでしょう。
サーベイはあくまでもその時々の組織状態を診断するツールです。つまり診断時の組織状態をポコッと抜き取った結果になります。
状態を可視化することはできますが、名コーチのように臨機応変に“今の状態”を見極めて改善し続けていくことはできないのです。
組織は生き物、だからこそリアルで自走する仕組みが大事
サーベイだけに頼りっきりでは組織改善にはつながらない
組織は生き物です。そのため、日々変化していくことが当たり前。組織の今の問題を知ることも大事ですが、組織や事業の変化など、過去から文脈を見つけることが施策を打つ上で大きなヒントとなることがあります。
夏休みの宿題の昆虫観察のように毎日記録をつけていけば、その変化も推移もわかると思いますが、組織診断を毎日行うのはあまり現実的ではありません。
サーベイだけに頼りっきりのエンゲージメント施策が機能しない理由はここにあると思います。
例えば、「あれ、営業部のAさん、最近どうしたのかな」と気づくためには、何が必要でしょうか?勤怠のデータでしょうか、ぱっと見の表情でしょうか。
そういった表向きの表情や変化で気づくことができる上司とできない上司がいるでしょう。さらに、一部の従業員だけでなく、「全従業員」に対して均一に情報を拾えるかというと、現場に任せっきりでは難しいでしょう。
刻々と変化する組織や従業員の状態を感知できるか、そしてその変化に対してスピード感を持って対応できるかが、今後の時代では必要になってくると我々は考えています。
忖度を抜きにした従業員の「リアル」をいかに拾うか
そして運用面を考えれば、「自然とその結果が収集できる仕組み」があるとベストです。
組織は生き物のように変化するからこそ大事なことがもう一点。リアルも大事だということ。
診断では補いきれない従業員の「リアルな回答・気持ち」をどう拾っていくか。忖度抜きにしたリアルな回答を取得する仕組みが必要です。
既存のエンゲージメント施策に一石を投じるサービスでありたい
僕たちが提供するTUNAGは、診断で終わらせず、全く違った形でアプローチをしています。
サービス内にはサーベイも用意していますが、診断結果はあくまで参考数値や変化の証明として使うケースがほとんどです。サーベイ単体での導入は一切受け付けていません。
サービスの根幹になるのは、従業員を巻き込み実行できる「制度プラットフォーム」の提供です。TUNAGというアプリケーションの提供を行い、そのプラットフォーム上で社内制度(施策)を運用します。
プラットフォーム上での日々のアクションはデータとして可視化されていきますので、サーベイよりもリアルで生きたデータとなるでしょう。もちろん、過去からの推移も日次で確認できます。
合わせて、コンサルタントによる支援も提供しています。会社によってアプローチが異なるため、難易度が高く運用が難しい社内制度ですが、コンサルタントがしっかりと伴走し、確実に運用を定着させていくことが可能です。
※すべてをお伝えしきれないため詳しくはコチラから
エンゲージメントを高める施策として、コンサルティング+ITツールの両軸で提供するスタイルをとっているのがTUNAGです。
サーベイの実施だけでは万全ではありません。もうサーベイだけに頼るエンゲージメント施策は終わりにしませんか。
次回の後編ではサーベイと比較しながら、TUNAGが提供するサービス価値についてご紹介いたします。
株式会社スタメン
執行役員カスタマーサクセス部長 森山裕平
▼『TUNAG』について
『TUNAG』では、会社として伝えたい理念やメッセージを、「社内制度」という型として表現し、伝えていくことができます。
会社様ごとにカスタマイズでき、課題に合ったアクションを継続的に実行できるところに強みがあります。
「施策が長続きしない」「定着しない」というお悩みがございましたら、「現在のお取り組み」のご相談を無料で行っておりますので、お問い合わせください。