MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)とは?事例、作り方、浸透方法を解説
MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)とは?
MVVは、「Mission(ミッション)」「Vision(ビジョン)」「Value(Value)」をまとめて略したもので、経営学者ピーター・F・ドラッカー氏が提唱した企業の経営方針を言います。
MMVの定義
ミッション、ビジョン、バリューは、次のように区別されます。
ミッション
ミッション、ビジョン、バリューの中で中心となるのがミッションです。ミッションは、企業が社会に対して果たすべき「使命」であり、なしとげたい「目標」を指します。そうした意味では、企業の「存在意義」であるといえるでしょう。
ビジョン
ビジョンとは、会社が目指すべき理想の姿であり、実現したい未来を指します。企業が「使命」を果たした結果、どんな未来を実現したいのか、どんな姿になることが理想なのかを表すもので、企業の方向性を明確にします。
バリュー
バリューとは、ミッションを遂行するにあたって、社内で共有しておきたい価値観や行動指針を言います。ビジョンが会社の実現したい未来を指すのに対し、バリューはその未来を実現するための具体的な「手段」となります。
MVVを策定することのメリット
MVVは、企業の存在意義や目指す未来、それを叶える手段を定めたものです。MVVを定めることで、会社がなんのためにビジネスを行っているのか、どんな目的を果たすために存在しているのかを内外に示すことになります。
そうした「芯」を中心に、社会や市場にあわせて組織を柔軟に変化させたり、発展させたりすることができます。また、策定したMVVが組織に浸透することで、社員のあいだに共通認識ができ、行動に一貫性を持たせることができます。
MVVによって会社の方向性を言語化することで、社外的にもPRしやすくなり、認知度の向上やファン獲得にもつながります。
▼参照元
MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)とは?上場企業&スタートアップ100社の事例まとめ | M&AtoZ
ミッションの意味とは?社内に取り入れるために知っておきたいポイント|AiDEM
MVVの事例を紹介
さまざまな企業のMVVを見ていると、自社を表す「キーワード」を軸に策定している傾向が見てとれます。たとえば、「スピード」「挑戦」「チームワーク」など、企業が目指す姿や大切にしている価値観などが表れています。
「スピード」に言及しているMVV事例
経済情報プラットフォーム「NewsPicks」などを運営するUZABASEでは、「How Fast ? Wow Start——スピードで驚かす」をバリューの1つに定めています。「どこよりも早く開発し、どこよりも早く改善する」「商品・サービスの進化、意思決定のスピード」など、経営にかかわるすべてにおいて「最速」を目指すことを掲げています。ほかに、ソフトバンクグループでも、激しく変化する事業環境の中で勝ち抜くために、バリューに「スピード」を掲げています。
▼参照元
ABOUT US|株式会社ユーザベース
バリュー|ソフトバンクグループ
「挑戦」「変化」に言及しているMVV事例
「挑戦」や「変化」に対応する姿勢をMVVに定めている会社も多くあります。名刺管理サービスや営業データベースを提供するsansanでは、バリューの1つに「変化を恐れず、挑戦していく」を掲げています。変化すること、挑戦することが目的ではなく、「その先に何を得られるか」が重要であるとして、その先にある「恐れ」を認識しながら挑戦していく組成を追求すると表明しています。
▼参照元
Sansanのカタチ|Sansan株式会社
バリュー|ソフトバンクグループ
「チームワーク」に言及しているMVV事例
チームワークや組織の結束について言及したMVVを策定した例では、スキルシェアプラットフォームを展開するココナラの「One Team for Mission」などが挙げられます。「お互いの信頼関係が競争力を高める」「1人ひとりがチームリーダーとして、主体的にチームを導く」といったことに触れ、従業員個々が主体性を持つことと、信頼に基づいた協働関係を築くことを重要視しています。
▼参照元
6年ぶりに改定したココナラのバリューに込めた思い|ココナラブログ
「テクノロジー」に言及しているMVV事例
ITや家電メーカーなどでは、「技術」「テクノロジー」の力で社会貢献する趣旨のMVVを定めている会社が多く見られます。たとえば、ソニーグループでは、企業の存在意義として「クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす」を掲げています。また、会計アプリを提供しているマネーフォワードでは、テクノロジーの力で世界を大きく変える「Technology Driven」というバリューを策定しています。
▼参照元
ソニーグループについて|SONY
ミッション|株式会社マネーフォワード
MVVの作り方
MVVを策定するには、誰が、何をすればいいのでしょうか。MVVの作り方や、策定のポイントは、次のとおりです。
MVVの作り方
MVVの策定は、経営層はもちろんのこと、人事部などHR部門が中心となって行います。策定後、社内への浸透を考慮して、一般社員を巻き込んで行う場合もあります。部署をまたがったチームを組成し、MVVの策定から関わってもらうことで、社員が当事者意識を持つことができます。
まず経営層が事業内容や想いを整理し、社内の誰がステークホルダーになるかを分析して、MVV策定に関わる社員を抽出してチームを組成します。
組成されたプロジェクトチームでワークショップを行います。「顧客が自社に何を求めているか」「競合他社のMVVにはどんなものがあるか」「マーケットの中での自社のポジショニングはどこか」などを踏まえ、社員から意見を募ります。
ワークショップは1回で終わるのではなく、複数回にわけて行いましょう。
MVV策定ワークショップで意識したいポイント
MVV策定のワークショップを開く際、次のようなポイントに気をつけましょう。
言葉の定義を明確にし、参加者のあいだで共通のイメージが持てるようにする
言葉の定義が曖昧だと、参加者のあいだで認識にズレが生じます。言葉を明確に定義付けし、「何について話し合っているのか」、全員が共通のイメージを持てるようにしましょう。
他者の意見やアイデアを否定・批判をしない
ワークショップをする際は、できるだけたくさんの意見やアイデアが出るよう、自由に発言を促します。このとき、出されたアイデアや意見を否定したり、批判したりすることは避けましょう。否定や批判は、自由な発想の芽を摘んでしまいます。否定や批判ではなく、ディスカッションをするようにしましょう。
MVVに一貫性を持たせる
MVVは、ミッションを実現するための自社のあるべき姿をビジョンで、ビジョンを実現するための行動指針など手段をバリューで補完する関係にあります。策定したNVVが実際に社員の行動につながるよう、「ミッション-ビジョン-バリュー」のつながりに一貫性を持たせるよう意識しましょう。
時代や社会性を踏まえる
MVVには企業の想いや事業内容を反映させるべきですが、あまりにも時代や社会とズレている場合、MVV自体が「リスク」になり得ます。企業の理想だけを押しつけるのではなく、時代や社会を反映した言葉や表現を選ぶようにしましょう。
策定後、浸透させることを意識する
MVVは作って終わりではなく、社員に浸透させる必要があります。策定の時点で、「浸透させること」を意識しましょう。具体的には、社員の共感を呼ぶ言葉を選ぶことや、頭に残りやすい情報量にすることを心がけるとよいでしょう。カタカナ用語や抽象的すぎる言葉はなるべく避け、頭になじみやすい文言を選びましょう。
▼参照元
MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)とは?|PR TIMES MAGAZINE
ミッション・ビジョン・バリュー(MVV)の役割と事例と作り方|THANKS GIFT
MVVの浸透方法
MVVは、組織に浸透させ、社員が認識してこそ効果を発揮します。MVVを浸透させるには、次のような方法が参考になるでしょう。
誰もが理解し実行できるマニュアルを作る
東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランドでは、ベテランから新人まで、経験年数を問わず、従業員の誰もが理解し実行できるマニュアルを用意しています。組織の「2−6−2」の下位2割を作らないよう、「スタンダード」以上の従業員が10割となる「意識合わせ」をマニュアルを介して行っています。
人材育成でMVVを浸透させる
リッツ・カールトンでは企業理念が隅々まで浸透した結果、顧客に対し、非常に高品質なサービスを提供しています。「紳士・淑女こそがもっとも大切な資源」と考える同社では、人材育成を重視しています。理念の中で「従業員は資産である」と唱え、従業員との信頼関係を築くことで、高いエンゲージメントが結ばれます。
同じく、世界的コーヒーチェーンのスターバックスでも人材教育を重視。スタッフにとって働きやすい環境を提供し、長期定着を促すため、時間をかけて人材教育を施すことができます。教育投資をすることで、従業員が長く勤めてくれるというよい循環を生みだすことにもつながります。
経営層が積極的に情報発信をする
社内に向けた経営層の積極的な情報発信も、MVV浸透の助けになります。「DEAN & DELUCA」や、「GEORGE’S 」「CIBONE」などを運営する株式会社ウェルカムでは、経営層が自らムービーを作成し、配信しています。取締役などがわかりやすい言葉で行動指針になどについて語ることで、従業員の中で認識が共有されるようになりました。
▼参照元
経営理念浸透の方法 – 7社の事例から考える | TUNAG
まとめ
MVV浸透する手段の1つ「TUNAG」
「せっかく策定したMVVがいまいち浸透しない」「浸透方法を実践しようにも、どういう手段をとればいいかわからない」。エンゲージメント経営プラットフォーム「TUNAG」は、こうした課題の解決に寄与します。
経営者からの情報発信や、従業員同士のコミュニケーション、チームごとの情報伝達など、さまざまな機能で、タテヨコナナメに社内の情報共有をサポート。ダッシュボードで運用状況が可視化できるため、MVV浸透のためのどの施策で効果が表れたかを分析することも可能です。
現代で、MVVを浸透させるには、こうした社内コミュニケーションツールを活用するのが、1つの手段となっています。