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育児・介護休業法 – 2023年の改正内容をわかりやすく解説!

育児・介護休業法 - 2022年・2023年の改正内容をわかりやすく解説!

記事監修:涌井 好文 社会保険労務士
涌井社会保険労務士事務所代表。平成26年より神奈川県で社会保険労務士として開業登録を行い、以後地域における企業の人事労務や給与計算のアドバイザーとして活動を行う。

育児・介護休業法とは

育児・介護休業法(育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律)は、1991年に制定された育児休業法を前身とする法律です。1999年に介護休業制度が義務化されたことに伴って、現在の育児・介護休業法に改名が行われました。

育児・介護休業法は、職業生活と家庭生活の両立に寄与することを通じて、福祉の増進を図り、併せて経済及び社会の発展に資することを法の目的としています。その目的を達成するため、育児休業及び介護休業の制度を設けるとともに、子の看護休暇及び介護休暇の制度が設けられています。

また子の養育及び家族の介護を容易にするための労働時間等に関する事業主が講ずべき措置や、子の養育及び家族介護を容易にする支援措置についても法の内容としています。

参照: 育児・介護休業法について|厚生労働省

改正のスケジュール

育児・介護休業法は、育児休業法として1992年4月に施行されて以来、複数回の改正が行われてきました。1999年の深夜業の制限をはじめ、2002年の子の看護休暇制度の創設や2005年の育児休業期間の延長等、より育児や介護に適した制度へと随時改正が行われています。

2022年にも4月と10月に分け、2回の改正が行われており、有期雇用労働者の育児介護休業取得要件の緩和や、育児休業の分割取得等が改正内容として盛り込まれました。また2023年4月にも再度の改正が予定されています。

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育児・介護休業法 – 2022年4月の3つの改正内容

2022年4月に行われた育児・介護休業法の改正は、育児休業を取得しやすい環境の整備や育児休業制度の周知、有期雇用労働者の育児介護休業取得要件緩和等をその内容としています。制度そのものの改正ではなく、育児休業という制度自体の周知や利用の促進を図る改正内容となっています。

改正内容1. 従業員が育児休業を取得しやすい雇用環境の整備

2022年4月の改正により、企業は自社における育児休業を取得しやすい環境の整備のための措置を講ずることが義務付けられました。対象となる労働者は、男女を問わず、企業規模による猶予等もないため、全ての企業において、次のいずれかの措置を講じる必要があります。

  • 育児休業・産後パパ育休に関する研修の実施
  • 育児休業・産後パパ育休に関する相談体制の整備等
  • 自社の労働者の育児休業・産後パパ育休取得事例の収集・提供
  • 自社の労働者へ育児休業・産後パパ育休制度と育児休業取得促進に関する方針の周知

いずれかの措置を講じることが義務付けられていますが、育児休業制度利用促進のためにも企業は4つの措置を講じることが理想です。また講ずべき措置の4つの詳しい内容については、次項から解説を行います。

①育児休業・産後パパ育休に関する研修の実施

育児休業制度や2022年改正により追加される産後パパ育休(出生時育児休業)に関する研修を行うことで、制度の理解や利用の促進を図ります。全従業員が研修を受講することが理想ですが、通達によれば少なくとも管理監督者は、研修を受講した状態であることが必要とされています。

②育児休業・産後パパ育休に関する相談体制の整備等

育児休業がどのよう制度かわからない又は、自分が対象者となるのかわからないといった労働者も多く存在します。また自分が取得しても迷惑ではないのか等の不安を抱えている場合もあり得ます。

そういった労働者の疑問や不安を解消するための相談窓口を設置することも、企業における環境整備の1つです。相談窓口は形式的なものであってはならず、実際に利用できるように窓口の周知を行うことも必要となります。

③自社の労働者の育児休業・産後パパ育休取得事例の収集・提供

自社における育児休業(10月以降は、産後パパ育休含む)の取得事例を収集し、社内ネットワーク等に掲載を行います。自社の育児休業に関する情報を労働者に提供することで、制度の周知を図るとともに、円滑な制度利用を促すことが目的です。

④自社の従業員へ育児休業・産後パパ育休制度と育児休業取得促進に関する方針の周知

企業は従業員に対して、育児休業制度及び自社の育児休業取得促進に関する方針の周知をポスターの掲示や社内ネットワーク等への掲載を通じて行います。制度の周知はもちろんのこと、企業が利用促進を後押ししているという方針を併せて周知することで、労働者の制度利用のハードルを下げることが狙いです。

改正内容2. 妊娠・出産の申出をした労働者に対する個別の周知・意向確認の措置の義務付け

企業がいくら周知を行っても、対象となる労働者に届かなければ意味がありません。そのため、2022年4月改正によって妊娠・出産の申し出をした労働者に対する個別の制度周知と育児休業取得意向の確認が義務付けられました。

申し出に対しては、厚生労働省が公開している「個別周知・意向確認書記載例」等の書面を利用することで、制度の説明がスムーズに行えます。また育児休業制度利用促進のためには、周知や意向確認の前提となる妊娠・出産の申し出を行いやすい雇用環境を作ることも必要です。

参照: 07 参考様式(個別周知・意向確認書記載例、事例紹介、制度・方針周知 ポスター例)|厚生労働省

改正内容3. 有期雇用労働者に対する休業取得要件の緩和

2022年4月改正では、環境整備や対象労働者への意向確認義務化の他に、有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件緩和が行われました。

改正前における有期雇用労働者の休業取得要件は次の通りです。

■引き続き雇用された期間が1年以上
■子が1歳6ヶ月に達するまでの間(介護休業の場合は、取得予定日から起算して、93日を経過する日から6か月を経過する日まで)に労働契約の期間が満了することが明らかでないこと

改正により雇用期間1年以上の要件が撤廃され、子が1歳6ヶ月に達するまでに契約期間が満了しないのであれば、休業取得要件を満たすことになりました。これによって、雇用形態を問うことのない利用しやすい制度へと変更されています。ただし、労使協定を締結することにより、引き続き雇用された期間が1年未満の労働者や1週間の所定労働日数(※1)が2日以下の労働者を、育児休業及び介護休業の対象から除外することも可能です。

※1:所定労働日数とは、就業規則や労働契約によって決められた労働日数のことを指します。所定労働日数については、企業が自由に設定できますが、1週間に1日又は4週間を通じて4日以上の法定休日を確保し、法定労働時間の範囲内で設定しなければなりません。

育児・介護休業法 – 2022年10月の2つの改正内容

育児・介護休業法は、2022年4月に続いて10月にも改正が行われました。産後パパ育休(出生時育児休業)制度の創設と育児休業の分割取得への対応を改正内容としています。産後パパ育休、分割取得のいずれも育児休業の柔軟な取得を可能とする制度であり、育児休業取得率向上を目的とした改正内容となっています。

改正内容1. 「産後パパ育休」(出生時育児休業)の新設

産後パパ育休は、それまでのパパ休暇に代わり創設された制度です。育児休業とは別枠に、子の出生直後における柔軟で取得しやすい休業制度として創設され、子の出生後8週間以内であれば、4週間(28日)まで利用可能となっています。また初回にまとめて申し出ることで、2回まで分割して産後パパ育休を取得することも可能です。

育児休業中には、休業中の所得補償として育児休業給付金が支給されますが、産後パパ育休を取得した場合にも、同様の趣旨による出生時育児休業給付金が支給されます。支給額は、育児休業給付金(180日目まで)と同様に一日当たり休業開始時賃金日額の67%とされ、支給日数の限度は28日です。

また雇用環境の整備に係る措置として、制度方針の周知や事例収集・提供を選択した場合には、産後パパ育休についても周知や事例の収集が必要となります。利用の促進のためにも担当者は、産後パパ育休が従来の育児休業とは別枠で利用できる休業制度であることをしっかりと労働者に説明することが必要です。

改正内容2. 育児休業の分割取得が可能に

10月改正では、産後パパ育休の創設に加えて、育児休業の分割取得が可能となりました。改正によって、特別の事情がなくとも育児休業を分割して取得することが可能となったため、これに対応して育児休業給付金も2回まで支給されるように変更されています。なお産後パパ育休と異なり、分割取得の場合は初回にまとめて申し出る必要はありません。

改正前においても出生直後の時期であれば、パパ休暇として2回育児休業を取得することが可能でした。しかし、改正によって時期や事情を問わず、分割取得が可能となり、より柔軟に個別の事情に応じた対応が可能となっています。

育児・介護休業法 – 2023年4月の改正内容

育児・介護休業法は、改正の多い法律であり、2023年4月にも改正が予定されています。まだ施行はされておらず、対象となる企業も限定される改正内容ですが、今後の対象拡大もあり得るため、自社の企業規模を問わずしっかりと把握しておく必要があります。

育児休業取得率の公表

2023年に予定されている改正内容は、育児休業取得率の公表です。改正により、雇用する労働者数が1,000人を超える企業においては、直前の事業年度の「男性の育児休業等の取得率」「育児休業等と育児目的休暇の取得率」を、一般の方が閲覧できるようインターネットなどで公表することが義務付けられる予定となっています。

1,000人超と対象となる企業は、決して多くありませんが、2023年以降の改正によって500人超100人超と対象企業の拡大も予想されます。そのため、対象となる企業担当者はもちろんのこと、対象でない企業担当者も自社の育児休業取得率を把握しておくことが必要です。

担当者が押さえておきたい支援や助成金3選

育児・介護休業法は改正が多く内容も複雑なため、中々社内で対応を完結させることが難しいのが現実です。そのため、育児休業や介護休業をより利用しやすい制度とするための支援事業や助成金の交付等が行われています。

1. 中小企業育児・介護休業等推進支援事業

中小企業育児・介護休業等推進支援事業は、社会保険労務士や中小企業診断士等の専門家が仕事と家庭生活の両立を支援する「両立支援プランナー」として、事業主と面談を行い、課題の分析を行う支援事業です。無料で利用することが可能であり、育児休業取得から職場復帰へのスムーズな移行プランの策定や雇用環境整備等の支援を受けることができます。

2. 両立支援等助成金

両立支援等助成金は、仕事と家庭生活の両立を支援するための助成金です。両立支援等助成金には、次のような5つのコースがあります。

  • 出生時両立支援コース
  • 介護離職防止支援コース
  • 育児休業等支援コース
  • 不妊治療両立支援コース
  • 新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置による休暇取得支援コース

中小企業における男性労働者の育児休業を取得しやすい雇用環境整備のための出生時両立支援コースをはじめ、いずれも職場における仕事と家庭生活の両立のための雇用環境作りに役立つ助成金となっています。担当者は自社が対象となるか確認を行い、雇用環境整備に役立てましょう。

3. 男性の育児休業取得促進事業

男性の育児休業取得促進事業(イクメンプロジェクト)は、男性の育児休業取得率向上のために、平成22年度より行われている事業です。育児を積極的に行う「イクメン」を支援し、仕事と家庭生活の両立や育児休業取得率向上、男性の育児への参画を事業の目的としています。

具体的な事業内容は、男性の仕事と家庭生活の両立を推進している企業を表彰する「イクメン企業アワード」の実施や企業向けセミナーの開催等が挙げられます。

育児・介護休業法改正の背景

育児・介護休業法は、直近の2022年改正をはじめ、これまで複数回の改正が行われています。取得率向上や短時間勤務、制度周知等の様々な目的で改正が行われてきましたが、いずれにおいても育児・介護休業法の目的である労働者の雇用の継続及び仕事と家庭生活の両立を達成するためのものです。

厚生労働省の雇用均等基本調査によると、男性の育児休業取得率は、2021年度において13.97%となっており、2019年度の7.48%に比べ上昇の傾向は見られるものの未だに低い水準にあります。女性の育児休業取得率は、80%台で推移しており、男性に比べれば高い水準ではありますが、対象となる全ての女性が育児休業を取得するといった水準には至っていません。

改正の背景には、少子高齢化に伴う人口減少下において、出産育児による労働者の離職を防ぎ、男女ともに仕事と家庭生活が両立できる社会の実現が重要との考えがあります。労働政策審議会(※2)は、改正によって、ワーク・ライフ・バランスのとれた働き方ができる職場環境の実現、出生直後の休業取得による育児・家事分担の推進につなげ、女性の雇用継続や夫婦が希望する数の子を持つことの助けになるとしています。

※2:労働政策審議会とは、厚生労働大臣等の諮問に応じて、労働政策に関する重要事項の調査審議を行う、厚生労働省設置法第6条第1項に基づき設置された審議会です。

参照:労働政策審議会|厚生労働省

まとめ

育児・介護休業法はこれまで複数回の改正が行われています。2022年に施行された改正内容は以下の5点です。

  • 従業員が育児休業を取得しやすい雇用環境の整備
  • 妊娠・出産の申出をした労働者に対する個別の周知・意向確認の措置の義務付け
  • 有期雇用労働者に対する休業取得要件の緩和
  • 「産後パパ育休」(出生時育児休業)の新設
  • 育児休業の分割取得が可能に

2023年4月にも改正が控えており、企業の担当者はこれらの内容を理解した上で、育児休業の申請がしやすい仕組みを作っていくことが求められます。また、従業員の中には改正内容を十分に理解しきれておらず、「対象者ではない」と思い込んでいるケースも考えられます。

今回の改正を機に、従業員が育児休業を取りやすい体制になっているか、社内への周知方法や申請の仕組みを改めて見直してみてはいかがでしょうか。

▼厚生労働省の育児・介護休業法関連ページはこちら
・育児・介護休業法について
・育児・介護休業法パンフレット一覧

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