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HRコラム

時短ハラスメントを防ぐために企業が行うべき対策。
働き方改革は長期的な視点が必要

時短ハラスメントとは?

職場において業務時間の短縮を強要するハラスメント

2018年のユーキャン新語・流行語大賞にもノミネートされた「時短ハラスメント(ジタハラ)」ですが、もはや社会問題ともなっています。

現場を知らない経営者などのトップレイヤーが長時間労働を回避するために帰宅を強要する事から起こるハラスメントとして行われることが多くあります。

早く帰宅してプライベートを充実させる事は心身を健やかに保つために重要ですが、今まで残業していた業務ができなくなると、業務が滞る事につながることも。

例えば、今まで毎日3時間の残業を行う事で業務が回っていた場合、定時に帰宅しようとすると3時間分の業務量をどうにかしなければなりません。

この状況下で上司が何も具体案を出さずに、「もう定時だから早く帰宅しろ!」「定時に上がれないのは、君の作業効率が悪いからだ!」などの発言が、ハラスメント(嫌がらせ)に該当します。

また、残業禁止などで残業が付けられないなどの理由から、残業を付けずにサービス残業する事や自宅作業をする事も時短ハラスメントとして扱われます。

言葉が生まれた背景、働き方改革との関係

時短ハラスメントが生まれた背景には、長時間労働が社会問題となっています。

ワークライフバランス、生産性、働き方改革などのワードが先行して対策を考えずに現場に押し付けた結果、時短ハラスメントという形で社員を苦しめてしまいます。

また、労働組合の力が大きい大企業だけでなく、労働者が不足している中小企業などでも時短ハラスメントは起こりやすくなっています。

社員の労働時間を短縮するためには、以下のようなアプローチがありますが、このような短期的な取り組みだけでは限界があります。

・一人当たりの生産性を上げる
・作業量を減らして雇用を増やす
・納期を延長する

雇用を増やすとなると採用コストに加え、交通費などの手当や教育費の負担、事務所の拡張など企業側の負担も大きくなります。

納期を遅延させる事も信用問題に関わったり、商品やサービス力の低下につながったりしますので、簡単には受け入れられない企業も多いでしょう。

しかし、残業をさせてしまっては社長や労働基準監督署から勧告を受けてしまうから、早く帰さなければならない……。

そのような理由から、特に解決策が見出される事もないまま残業規制だけが一人歩きしてしまったことが背景といえます。

時短ハラスメントの例

実際にどのようなシーンが時短ハラスメントに該当するのかご説明いたします。

部下に丸投げする上司

「会社命令で残業禁止」などで現場の事を理解せずに「早く帰れ」だけを伝え、早く帰るための方法も部下に丸投げしてしまうケースが多く挙げられます。

一番行なってはいけない事は「早く帰れないのは生産性が悪いからだ!」などと部下を叱責してしまう事です。

そう感じているなら生産性を上げる方法を部下と一緒に考えるなど、早く帰れるように業務量の適正化をするなど管理職としてすべき事をおざなりにしない事がハラスメント防止策として重要です。

ノルマや期日が適正ではない

極端な例ですが、夕方に明日の朝までという期日設定の指示をした場合、残業をせざるを得ない状況となります。しかし残業禁止令などが出ている場合は、タイムカードを切った後に作業をするか、自宅に持ち帰るなどでサービス残業を強要している事に該当します。

ノルマなども同様ですが、適正な数値や期日の設定を行わないと時短ハラスメントを誘引するきっかけとなってしまいます。

どのケースでも日常的に起こり得るシーンですので社内で時短ハラスメントが横行していないかを注意深く観察し、対策を検討しましょう。

時短ハラスメントに対する「従業員側」の対策

実際に時短ハラスメントを受けている場合はどうしたら良いでしょうかという相談もありますので、相談窓口などをご紹介いたします。

会社に相談しても解決しないなら無料の総合労働相談コーナーの利用も

社内に相談窓口が設置されていれば、そちらに相談してみましょう。

窓口がなかったり、解決されない場合は、労働基準監督署や総合労働相談に相談する事も視野に入れましょう。時短ハラスメントが違法であるか判断をするには労働法の専門的な知識が必要となります。

会社に対して見切りをつけ退職を検討する前に、まずは総合労働相談コーナーを利用してみるのも良いでしょう。各都道府県の労働局など全国380箇所に無料の相談窓口が設置されています。

参考:https://www.mhlw.go.jp/general/seido/chihou/kaiketu/soudan.html

企業側が「時短ハラスメント」をしないための対策

企業側も時短ハラスメントが横行しないような環境を提供する必要があります。いくつかご紹介いたします。

1)業務量の適正化

有能で真面目な社員ほど業務が集中しやすいですが、メンバーの作業負荷が適正化を判断します。もちろんメンバーの個人的な能力も違いますが、それらを考慮した上で適正な業務量を割り振るようにしましょう。

「がんばっているな」と見えるメンバーほど、多くの業務を抱え、さばくのに精一杯の状態になっているかもしれません。

まずは業務量の確認、その業務の成果が組織の目標とずれていないか、上司と部下が普段からしっかり対話する機会を設けなければなりません。

参考記事:効果的な「1on1」は上司のやり方が全て。部下が成長する進め方とは

2)クライアントとの調整

帰りたくても帰れない状況の裏にはクライアントとの調整があります。納期もそうですが、確認・連絡待ちなど自社内だけでは解決できない問題があります。

そうならないためにも、納期に無理がないか、納品までのスケジュールで遅れがあるなら社内のメンバーを増員したり、クライアントと納期について再調整する事も従業員の労働環境を守る意味でも大切です。

納期の遅延は、心証も悪く、次の契約を考えると避けたいところですが、遅延の理由がクライアントの返事待ちなどであれば、予め定めておいた期日までに返事をするように促す事も遅延防止策として有用でしょう。

企業によっては、「今日はノー残業デーです」と取引先に伝え、理解を促しているところもあります。

3)残業代の是正、労働実態の正確な把握

残業代の請求がないから大丈夫と安心せずに、実態を正しく把握しましょう。

帰宅したはずなのに深夜にメールが帰ってきたり、帰宅前にカフェなどで作業をしている社員がいないかも確認します。また、残業が適正であるのなら残業代も支払うようにしましょう。

社内に残っていない事が多いため実態を把握しにくい場面のためPCのログイン時間を取得する企業もありますが、まずは言いやすい環境を整えたり、メールの返信時間を確認するなどから始めるのも良いでしょう。

4)残業理由の洗い出し

なぜ業務過多に陥ってしまっているのか、その課題を洗い出します。

残業しなければならない理由を知り、そのために必要な支援は何なのか、従業員が何に困っているのかをしっかりと上司が把握するようにしましょう。

繁忙期など業務に波がある事はある程度、仕方がない事ですが、これらの理由での残業が慢性化しないようなスケジューリングが大切です。

5)管理職の評価方法の見直し

本来、管理職として部下をマネジメントするにあたって、目標となる数値の管理以外にも、業務プロセスや労働時間の管理なども含まれています。

・なぜ残業するのか
・業務量を減らすためには何が必要なのか
・ルーチンワークをもっと効率化できないか

などの解決策を部下に一方的に押し付けるのではなく、一緒になって考えることが大切です。

そのために管理職自体の評価内容を、数値評価以外にも管理手法なども評価するような仕組みづくりも時短ハラスメント防止策として良いでしょう。

また、従業員が過剰な残業をしなくても成果が出せる仕組み、チームとしての支援体制づくりなどを、管理職や会社が整えていくことも必要です。

そのような行動から成果を出している従業員をモデルケースとし、会社として称賛していく文化をつくることも重要です。

6)管理職の育成

そもそも、ハラスメントを行う側である管理職の労働基準法についての知識不足から「時短ハラスメント」は発生します。

そのため、まずは労働基準法に対する知識をつけて部下の育成を行いましょう。

管理職が労働に関する一定の法的知識を身につける事は、ハラスメントの防止策の他にも部下や自分、企業を守るためにも有用です。

7)相談窓口の設置

大企業などでは時短ハラスメントを含めた相談窓口を社内に設置している事が多いです。中小企業でもこれらの相談窓口を設置しておく事は、何かしらのトラブル防止にも役立ちます。

相談窓口は匿名性が担保できる環境が必要となり、事実を調査するチームとの連携も重要です。

また、相談窓口は時短ハラスメントの他にもセクハラやパワハラ、メンタルヘルスなど様々な相談の窓口となりますので、リスク回避のためにも設置をしておく事も対策として有用でしょう。

8)ハラスメント教育・点検

時短ハラスメントに限らず、セクハラ、パワハラなどの社内でのハラスメントが横行しないように教育も有用です。ハラスメントに関する講習や VTRなどを利用するとより具体的で認識しやすいでしょう。

また、定期的に時短ハラスメントが行われていないか注意喚起をしたり、匿名のアンケートを実施するなどの防止策を講じておきましょう。

しかし、教育で気をつけなければならないのは、そのような教育の結果、従業員同士のコミュニケーションへの姿勢が消極的になってしまうことです。

ハラスメントということの知識は身につけながらも、メンバー同士がコミュニケーションをとり、成果をあげていく体制づくりは同時に行わなければなりません。

時短ハラスメントを防ぐためには組織内での対話から

現場を理解していないと、ただ「帰れ」としか言えなくなってしまう

時短ハラスメントは、多くの職場で悪意なく無意識に行いがちなハラスメントの一種です。

しかし、現場の業務や事情を理解している上司であれば、そのようなハラスメントを行う可能性は低いでしょう。その違いは現場での双方向のコミュニケーションがとれており、上司と部下との対話がしっかりなされていることにあるといえます。

メンバーが「なぜ帰ることができないのか」について、明確に理由が分からないな……という場合は、まずは現場を把握することから始めてみてはいかがでしょうか。

そのためには、チーム内でテーマを決めて対策を考える時間をとったり、上司部下で1on1MTGなどを行ってじっくり対話するなど、双方向がお互い歩み寄ってコミュニケーションをとることが重要です。

エンゲージメント向上のための“社内制度のプラットフォーム”『TUNAG』について

TUNAGでは、会社と従業員、従業員同士のエンゲージメント向上のために、課題に合わせた社内制度のPDCAをまわすことができるプラットフォームです。

会社の課題を診断し、課題に合った社内施策をご提案、その後の設計や運用のサポートまで一貫して行っています。

TUNAGでは、社内で取り組まれているあらゆる社内制度の活用状況をデータで可視化することができます。会社の課題にあわせ、どのような施策を行うと効果的か、500を超える社内制度運用事例をもとにご提案し、TUNAGを通して実行していきます。

お互いの業務を把握せず、一方的に労働時間を削減することを強制していては、従業員が疲弊し、やがて離職してしまうこともあります。

普段からしっかりと対話する機会を設けたり、現場の意見を吸い上げる仕組みを作っていくことが重要ですが、このような取り組みは短期的に効果が出るものではありません。

会社の組織風土、会社のあり方そのものを改革するつもりで長期的な視点で取り組む必要があります。

それが従業員の働きがいやモチベーションの向上につながり、本当の意味での働き方改革につながるのではないでしょうか。

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